第2回は、「床上浸水」の被害にあった時、具体的にどう対処するか・・・また、金融機関地方自治体からどのような支援を受けられるかについてです。

 

床上浸水した時の修繕内容

床上浸水すると、泥水に長時間浸かったために部屋中がドブ臭くなります。
放っておくと感染症の原因にもなるという事で、部屋の中はもちろん、臭いの原因にもなる床下に貯まった泥を取り除いてから、しっかり消毒する必要があります。

 

下の写真は、浸水から1週間ほど経過した後の床下の状況です。

まだ湿った泥が床下に貯まっているのがお判り頂けるでしょうか?

床下① 床下④

この、泥の撤去と消毒を業者に依頼する場合、費用は㎡あたり1,500円~2,000円程度になります。

50㎡ x 2戸の場合は・・・15万円~20万円になりますので、結構な負担になりますね。。

 

また、床上10cm程度の浸水だと、乾いてしまえば大きな修繕は必要ないと思いがちですが、実は見えない内壁の中に落とし穴があります。

内壁の中には、断熱材(グラスウール)が敷き詰められていますが・・・これが水を吸い込むと、数日経っても殆ど乾きません。

 

長期間、濡れたままの断熱材を放置しておくと、内壁の中からカビが生えてしまい部屋がカビ臭くなるばかりか、数年後には内壁の木材が腐食してしまい、取り返しの付かない事になります。


では、床上浸水した時には、具体的にどのような修繕が必要になるのでしょうか?

 

以下は、浸水被害にあった際、大手ハウスメーカーや地元の施工会社など、数社から頂いた修繕見積りを基に修繕項目をまとめたものです。

 

■床上浸水した時の修繕項目

  1. 床鋼製束と大引きを残し、床を全面張り替える。
  2. 全ての内壁を床から1mのあたりまでカットして張り替える。
  3. 内壁の中にある断熱材を、浸水した高さの1.5倍程度を目安に取り替える。
  4. 内壁の張り替えの際、コンセント等の電気工事を行う。
  5. エアコンを脱着して、クロスを全面張り替える。
  6. 部屋のドアや収納の扉など、浸水で膨張した建具を全て取り換える。
  7. 修繕による廃材を処分する。
  8. 床下、屋内の泥を取り除き消毒をする。必要に応じて防蟻処理をする。
  9. 損傷したキッチン、洗面台、トイレ、ユニットバス、エアコン、給湯器を交換する。
  10. 敷地内、駐車場、側溝を洗浄する。

全額自己負担となると、なんとか作業項目を減らして修繕費を安く済ませたいと思いますが・・・詳しく調べれば調べるほど、数年後の事を見据えると全ての修繕を行った方が結果的に安く済むという結論に至りました。

 

この結論に至るまで、私も散々な悪あがきをしました・・・。

 

例えば、床下を乾燥させるために近くの電気量販店でサーキュレーターを2機購入し、床下の点検口に置いて3日間回し続けました。

送風機点検口の送風機

 

また、なんとか床を張り替えずに済まないものかと、クッションフロアを自力で剥ぎ取り、エアコンを除湿にして1週間回し続ける事で、床の乾燥に努めました。

クッションフロアDSC_0156

その結果、何もしないよりはマシだったのかもしれませんが、数日後には膨張した床材が所々盛り上がってボコボコしていたり、水を含んで膨張したドアは、閉らなくなってしまいました。

 

上記のすべての修繕を行った場合、2LDK 58㎡の場合で1戸あたり300万円~600万円の費用がかかります。

 

まずは金融機関に連絡

さて、水災保険に入っていなかった場合、修繕費用をどうするかです。

私の場合は、新築した時に融資を受けた金融機関の融資担当者を通じて、修繕費用の融資をお願いしました。

 

先日、めでたく申し込み金額の満額融資を内諾頂き、「もしかしたら、修繕費用を払えないかも・・・」という不安から、ようやく解放されました。

 

その他にも、建物を購入または建築した時の融資支払を最長半年間、据え置きしてもらえる等の、災害時の特別措置もあります。

 

この辺りは、金融機関によって対応が異なりますので、一日も早い復興のために何を依頼したいのかを明確にしておきましょう。

 

地方自治体からの復興支援

続いて、都道府県や市区町村からの復興支援についてです。

支援内容の詳細については、被災した市・区役所公式Webサイトで、支援金の支給や修繕費用の特別融資、固定資産税をはじめとした各種税金の減税・免税など、復興のための支援内容を公表していますので、そちらを欠かさずチェックしてください。

 

私の場合は、都道府県が主導で行っていた中小企業復興支援事業に該当したため、結果として支援金合計額:110万円を工事後に受け取れる事を確認していました。

 

以下に、簡単に復興支援の内容を記載しておきます。

 

■中小企業等設備再建支援事業費補助金(上限100万円)

被災した中小企業者を対象にした補助金の支給制度で、個人事業主も支給対象者に含まれます。

アパ・マン経営の場合は、被災した家屋を修繕する場合、修繕費の15%以内で100万円を上限に、補助金が支給されます。

補助金の請求には、「り災証明」が必要になりますので、被災から2ヶ月以内を目途に必ず取得しておきましょう。

 

■中小企業等復旧応援事業補助金(上限10万円)

被災した中小企業者を対象にした補助金の支給制度で、災害による復旧・復興に係る経費の2分の1以内で、10万円を上限に補助金が支給されます。

 

第2回はここまでになります。

次回は、復興に関する記事の最終回で「逆転の発想 被災でキャッシュフローが改善?!」です。

 

お楽しみに!