東日本大震災の液状化した場所は、かなり正確に予想されていた
軟弱な地盤、特に緩い砂地盤は地震で液状化します。みなさんご存知のように、東日本大震災では関東周辺でも液状化による被害が多く出ました。
この地震で明らかになったのは、液状化のハザードマップが非常によく当たっていたことです。
地盤工学会の調査では「液状化しない」とされていた場所は、ほとんどの場所で液状化しませんでした。また「液状化しやすい」とされていた場所では、実際に液状化した場所が非常に多くでました。
「そんなこと、あたりまえジャン」という人が多いと思いますが、「地盤工学」ではこれがなかなか難しいのです。
東日本大震災による関東地方の液状化地点
東北地方太平洋沖地震による関東地方の地盤液状化現象の実態解明
国土交通省関東地方整備局、公益社団法人 地盤工学会
液状化するのはどのような場所か
地盤が液状化しやすい場所は、最近の埋め立て地、旧河道、大河川の近傍(洪水常襲地)、海岸砂丘の裾、砂丘間低地、沢を埋めた盛土などであるといわれています。
しかし、住んでいる土地が、そうした場所かどうかを普通の方が調べるのはたいへんですね。
それでは液状化するかどうかを調べるにはどうしたらよいでしょうか。
液状化は自治体のハザードマップで調べることができる
液状化に関しては、全国を統一したハザードマップはありません。しかし、自治体によっては、液状化しやすい場所をハザードマップとして公表しているところがあります。
自治体のハザードマップは国土交通省のハザードマップポータルサイトから行くことができます。以下のような手順で見てください。
国土交通省ハザードマップポータルサイト
http://disapotal.gsi.go.jp/
↓
地震防災危険度マップを選択
↓
地震被害(液状化) を選択
↓
場所(市区町村)を選択
マップを公表していない自治体ではここで調べられる
ただ、液状化に関しては公表していない自治体も数多くあります。こうした場所では国土交通省のポータルサイトから行くことができません。
例えば東京都では、江戸川区、足立区、狛江市しか公表していません(2013年1月現在)。そうした場合は、都・県レベルで公表されているハザードマップがあります。
東京都、千葉県、神奈川県のサイトは以下のとおりです。
(埼玉県ではほとんどの市町村で液状化ハザードマップが公表され、上記ポータルサイトから行くことができるので、ここには書きません)
東京都土木技術支援人材育成センター
http://doboku.metro.tokyo.jp/start/03-jyouhou/ekijyouka/index.htm
千葉県液状化しやすさマップ
http://www.bousai.pref.chiba.lg.jp/portal/05_sonae/58_hazard/ejk/index.html
神奈川県地震被害想定調査(このサイトから液状化マップをダウンロードできる) http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f5151/p15579.html
一度液状化したところも、また液状化する
液状化で重要なことがいくつかあります。ひとつは「一度液状化した所も、また液状化する」ということです。
以前は「液状化したところは免疫があるからもう液状化しない」という人もいたのですが、現在はこれは明確に否定されています。
「日本の液状化履歴マップ、2011年3月、東京大学出版会」という本が出版されており、この中には日本全国で過去の地震で液状化した場所が記されています。
この本で「過去に液状化の履歴のある場所」とされているところは、今後も液状化する可能性があると考えておいたほうがよいと思います(この本は図書館で備えているところが多いです)。
液状化対策は非常に効果がある
もうひとつ重要なことは「液状化対策が非常に効果がある」ということです。今回の東日本大震災でも、きちんとした液状化対策をしていたところで被害があったところはないようです。
いったん家を建てたあとに液状化対策をするのは大変ですが、もし、液状化の可能性のある場所に、これから家を建てようとする場合には、必ず液状化対策を施していただきたいと思います。
液状化で人は死なない、液状化したら揺れは小さくなる(少しムダ話)
もうひとつ液状化について、お伝えしておきたいことがあります。
実は、液状化という現象はゆっくりと発生するので、人命を損なうようなことはありません。例えば、新潟地震ではアパートが液状化で転倒しましたが、地震発生から転倒までは、10分ほどかかったようです。逃げる時間は十分にあるのです。
また「液状化した地盤では地震の揺れが小さくなる」という現象があります。地震の際に大きな被害をもたらすS波(せん断波)は、液体の中を通過しないので、液状化した地盤でも伝わらないのですね。
阪神淡路大震災の時も、ポートアイランドでは液状化による被害は大きかったのですが、地震の揺れによる被害はすくなかったのです。これは地盤が液状化したためだろうといわれています。
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