有名投資家に聞く!売却体験談 ~鈴木 学さんの場合~
区分所有マンションは短期間での「売却=利益確定」が成功の秘訣

現役ITエンジニア・マネジャーとして、日本、豪州、中国、米国、インドの5カ国で勤務経験あり。海外在住経験は8年間。
2002年、豪州シドニーで不動産を買い賃貸に出し、日本から遠隔管理して自信をつけたことを皮切りに、現在では、日本、フィリピン、オーストラリア、米国、タイに、計17室を所有・経営するグローバル大家。
所有不動産:5カ国に17室
総投資額:邦貨換算で1億2000万円(未完成4戸を含む)
年間家賃収入:110万円
売却した物件 |
概要1 | 概要2 | 概要3 |
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売却時期 |
2011年2月 |
2012年10月 |
2012年10月末予定 |
購入時期 |
2010年7月 |
2011年6月 |
2010年7月 |
構造 |
RC造 |
RC造 |
RC造 |
エリア | 愛知県名古屋市 | 山梨県甲府市 | 愛知県名古屋市 |
購入金額 | 90万円 | 160万円 | 170万円 |
売却益 | 30万円 | 60万円 | 30万円 |
運用益 | 70万円弱 | 55万円 | 80万円 |
なぜ物件を売却したのですか?
もともと相場より安く買っており、入居者がついて相場通りに売れるタイミングだったからです。私の場合、購入時より高くなれば売りに出します。
購入時は、投資物件専用サイトをこまめにチェックしていて、相場よりもかなり安いお買い得な物件を買います。
相場で売れればそれだけで利益がでる物件だからです。
空室状態で購入しましたが、入居者募集開始と同時に販売会社に働き掛け、入居者が決まればすぐに売れるよう、根回しをしておきました。
ちなみに、購入時に安い物件は、リスクが高いと考える方もいますが、そうとは言い切れません。
安い物件はモノ自体に問題がある場合と、所有者が早急に売って現金化したい場合の2パターンあると思っています。
後者であればモノが悪いというリスクは少ないと言えるでしょう。
私が購入するのは地方都市の物件が中心なので、購入に際して現物は見ません。
補修が必要でも壁紙などの張り替えレベルならせいぜい10万~15万円程度で済むので、相場より40万~50万安い物件ならリスクをカバーできます。
水回りに問題がある場合は補修に費用がかかりますので要確認です。
名古屋の売却予定物件は、価格が安く、利回り20%の数字を見て即購入を決めました。
売却を検討したきっかけは?
もともと投資用区分所有マンションは長期ホールドせず、短期売却前提で買っているので、利益が確定すれば基本的にいつ売却してもいいと考えています。今回も空室で購入した物件に入居が決まったので、そのタイミングで売却を決めました。
実はリーマン・ショック前、長期ホールドを前提に福岡に区分所有マンションを買ったこともあります。
しかし、リーマン後の家賃下落はひどいものでした。
このまま持ち続けると赤字が膨らむと感じて売りましたが、その後の投資で回収ができました。
以後、地方の築古物件を安く買っていますが、入居者が付いて相場の価格になればそれだけで売却益が見込めます。
39%の譲渡所得税は課せられますが、私は交通費などを経費計上することで節税を図っています。
売却をする時に苦労した点は何ですか?
すぐ売れないことです。入居者が入った状態になれば3、4カ月で売り抜けますが、条件が悪い物件であることが多いため、入居付けに2カ月程度かかることも少なくありません。
そういった場合はオーナーとして、壁紙を張り替えるなど最低限のリフォームをしています。
また、賃料相場を研究して、家賃を適正にすることも重要なようです。
地域ごとに売却しやすい条件に近づける努力もしています。例えば、名古屋の単身者向け物件の場合は入居者付けして利回り15~16%、単価200万円強にすれば買い手が付きやすいようです。
ただし、入居者が決まれば家賃が入るので、売れなくてもあせらず、「売れたらいいな」くらいの心構えでいます。
売却をしてみて、良かった点・悪かった点は?
悪かった点はないです。予定通り利益を上げて売り抜けた点は良かったです。
重要なのは、こうした経験を通じてそれぞれの地方の賃貸相場の勉強ができることです。
今後の購入エリアや賃料決定の参考になります。
また、200万~400万円という比較的コンパクトな価格で経験を積むことができる点もメリットです。
価格が大きくないので、失敗しても次の投資でリカバリーがききやすいと思います。
基本的に区分所有マンション投資は、じり貧のマーケットなので、早く利益確定して、売り抜けることが成功のコツだと思っています。
また、所有物件がある地方に足を運ぶことも投資家の楽しみの一つではないでしょうか。
名古屋などには年に3~4回は足を運んでいましたが、美味しい食べ物も味わうことができ、新幹線代は経費化できるので、うまみも多いです。
今回の売却は100点満点で言うと・・・?
90点です。想定していた通りに売り抜けたので満足度は高いです。
売却するか保有するか迷った際の判断はどのように行うのか?
区分マンションに関しては売却することを前提にしているので、保有するという選択肢はもともとありません。売却金額はどのように決めたのでしょうか?
相場を見ながら、不動産会社にどれくらいの価格で売れるかを聞きます。入居者が付いていることが前提ですが、名古屋の単身者向け物件は利回り14~15%、甲府だと20%ならば買い手がつきやすいので、利回りに合わせて価格を決定します。
売却を検討されている方へのアドバイスを一言!
賃貸市場は景気変動によるリスクも大きいので、家賃収入に依存し過ぎず、タイミングをみて早期売却にチャレンジしてもよいと思います。現在保有中の物件売却で損益があっても、次に早期売却を見据えた投資ができれば、十分リカバリーできるでしょう。
私の場合、所有期間を1年~1年半、長くて2年と限定して利益をあげられるように計算しています。
もともと競争力のない物件を少しでも高く売却するためのポイントは、実需向けの販売がメインの不動産会社を通じて売ることです。
実需の物件と並べることで安く見えるという効果があるからです。
こういった会社からは投資物件の販売会社や地元の企業が投資用に購入することも多いようです。
指値を言われることはほとんどなく希望の価格で売り抜けられました。
さらに言うなら、利益を得ることだけではなく、売却を通して不動産会社と顔見知りになることも今後の糧になります。
例えば、マンションの管理組合に通じている販売会社は、同じ建物内の投資家の中で、新たに買いたがっている人を知っていたりします。
こうした情報を得られるのも、販売会社と親しくするメリットです。