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物件をお持ちの皆さんは、空室の鍵をどのように管理していますか? 多くの方は、管理会社に鍵の管理を任せているのではないでしょうか。
この方法は一般的ですが、管理会社と客付会社が別の場合、客付会社は内覧のたびに管理会社に鍵を取りにいく必要があります。客付会社に預ける方法もありますが、鍵をコピーして複数の業者に預けるとなると、セキュリティーの面で不安が残ります。
効率的に、かつ合理的に空室の鍵を管理するためには、どのような方法を選択するのがよいのでしょうか? 管理会社に預ける場合、客付会社に預ける場合のメリット、デメリットから、適切な鍵の管理方法を考えてみましょう。
入居希望者の気持ちが「熱い」時を逃してしまう!?
鍵を管理会社に預ける場合、鍵を余分にコピーする必要もなく、管理会社の中で適切に保管されるので安心です。しかし、客付会社は「入居希望者が内覧を希望したとき」に管理会社に鍵を取りに行かなくてはなりません。
入居希望者が「すぐに部屋を見たい」と言っても、鍵の受け渡しのためにタイムロスが生じてしまいます。内覧が遅れてしまうと、入居希望者の物件に対する熱が冷めてしまう可能性も……。
一般的な方法とはいえ、重要な「空室対策」という観点から見れば欠点もあると言えそうです。
客付会社に鍵を渡したら、まさかの悪用!?
一方、内覧時に鍵の受け渡しの時間がかからないのが「客付会社に鍵を預ける」方法です。しかし、こちらにもデメリットがあります。
楽待コラムニストのベトナム大家さんは、普段、物件の鍵を現地のキーボックスに入れて管理していました。ところがある時、保有物件に5部屋空室が出てしまったため、新しい客付会社を紹介してもらったそうです。その業者から「鍵は客付け会社が持っていた方が動きが早くなる」と言われ、すべての鍵を預けることにしたとのこと
ところが、鍵を預けて1ヶ月、2ヶ月と経過しても、客付会社から「空室が埋まった」という連絡がありません。
一体どういうことなのだろうと疑問に思ったベトナム大家さん。後ほどわかったことですが、実はこの客付会社、客付けする気がないのに鍵を預かることで意図的に空室期間を長くしていたのです。その目的は、空室を本当に客付けしたい本命物件を案内する前にお客さんに紹介する、いわゆる「当て物」として利用すること。
鍵をその業者に預けてしまったことで、他の会社も客付けがしづらくなり、むしろ空室期間が延びる結果となってしまいました。実際に、この間に別の客付会社から「物件を案内したいのだが、鍵はどこ?」と聞かれ、危うく内覧の機会を失ってしまいかけたそうです。
結局、ベトナム大家さんはこの客付会社に客付けを任せることはやめ、以前のようにキーボックスで管理する方法に戻したそうです。
鍵はどのように管理するのが正解?
このように、管理会社に鍵を保管してもらう方法も、客付会社に預ける方法も、それぞれデメリットが存在しています。では、双方のリスクを解消するには、どのような方法が適切なのでしょうか?
そこで注目したいのが、ベトナム大家さんがもともと実施されていた「キーボックスでの管理」です。この方法なら鍵を現地で保管できるため、鍵の受け渡しによるタイムロスは発生しません。暗証番号を知っている客付会社ならいつでも内覧ができ、特定の客付会社に鍵を独占される心配もありません。
もちろん、キーボックスでの管理にも「誰でも触ることができる環境にあるため、暗証番号がわかれば開けられてしまう」というリスクがあります。しかし、定期的に暗証番号を変更するなどの対策をすることが可能です。
最近では、スマートフォンで鍵の開閉を管理できるスマートロックも出回り始めました。事前に内覧の申請を出している客付会社しか鍵が開けられないため、セキュリティー面ではキーボックスよりも優れています。
このように、キーボックスやスマートロックは無駄がなく、効率的・合理的な鍵の管理手法と言えるでしょう。これらの設備は自分で設置を企画し、管理会社にその旨を相談することも可能ですが、鍵管理方法のひとつとして元々用意している管理会社もあります。
鍵の管理ひとつとっても、管理会社が効率的・合理的でオーナー目線に立った方法を選択してくれているかどうかがわかります。もし、「空室が埋まらない……」というお悩みをお持ちの方がいれば、こうした細かい点からも、今の管理会社の提案を見直してみてはいかがでしょうか。
オーナーにとって最も合理的な方法を選択してくれている管理会社かどうかを見極め、そうでない場合は、管理会社の変更を検討してもいいかもしれません。
≫複数の管理会社を比較して、今の管理会社の対応を見直してみる!!
(参照)ベトナム大家さんのコラム