賃貸経営においてよく耳にする「管理会社」「仲介会社」「サブリース会社」ですが、それぞれどのような特徴があり、どのような役割をしているのか、しっかり理解できていますか?
会社によってはこれらを兼務していることも多く、混同しがちな内容。今回のコラムでは岡田さんが丁寧に解説します。
どの会社の業務内容も賃貸経営を行っていく上では、知ってて当たり前の基本知識。
「業者の言われるがままにしていたら、知らぬ間に損をしていた!」なんてことにならないように、このコラムでしっかりポイントをおさえておきましょう!
「仲介会社」とは?
簡単に言うと、部屋を貸したい人(=大家さん)と部屋を借りたい人(=入居希望者さん)の間に入って「仲介」するのが主な業務です。
大家さんや管理会社から募集の依頼を受け、その物件に当てはまるお客さんが来たら紹介し、契約が成立すると仲介手数料がもらえるという仕組みです。
最近では「仲介手数料 無料!」や「仲介手数料 0.5ヶ月!」などをアピールしている会社もありますが、そもそも仲介手数料というのは宅建業法で受け取れる額が決まっています。
基本的には貸主と借主が折半して、合わせて賃料の1ヶ月+消費税とされていますが、承諾があればどちらか一方が1ヶ月+消費税を払うという形をとることも出来ます。
ですから、仲介手数料 0.5ヶ月はごくごく普通なことなのです。
一昔前までは貸主の立場が強かったので、手数料なんて払わないでも通ったかもしれませんが、今はそれでは空室は埋まらないでしょう。
最近ではよく広告料2~3ヶ月出すという大家さんの話を聞くこともあると思います。
仲介手数料という名目では1ヶ月以上の報酬を受け取ることは違反になりますが、広告宣伝費や業務委託費として受け取ることは可能です。
「管理会社」とは?
管理会社は部屋を貸している大家さんと借りている入居者さんとの間に入って、対応をしてくれる会社です。
仲介業者は入居するまで、管理会社は入居してから関わりを持つといった感じでしょうか。
仲介と管理を兼務している会社も多くありますが、やっている業務の内容は全然違います。
管理会社については、以前、他のコラムで具体的な業務内容を書いたので、簡単にまとめると、「建物の維持管理」と「入居者管理」を行っています。
ちょっとした雑務から、クレーム対応、督促、物件巡回、報告書の作成など、幅広い業務を行っており、雑用も多いため社員の定着率も低く、担当者が変わることもよくあります。
物件の全てをお任せするわけですし、長い付き合いになるので、慎重に選ぶ必要があると思います。
「サブリース会社」とは?
サブリースは一言で言うと、部屋をまとめて借りてくれる(=一括借り上げ)会社です。
大家さんがサブリース会社に一括して賃貸し、サブリース会社が一般のお客さんへ転貸するというというものです。
例えば30部屋を月150万円で借り上げる契約をしていたら、空室が増えようが、家賃が下がろうが月150万円に変わりはありません。
ただ、保証される家賃は相場の80~90%と低めです。
その分、空室に悩まされることもないですし、クレーム対応等も全てしてくれますし、決まった日に決まった金額が入金されるので、手間はかかりません。
サブリースをお願いしたい!と思っても、サブリース会社も損をするような契約は結びませんから、
どこの物件でもしてくれるというわけではなく、立地がよく賃貸需要が見込める物件がほとんどです。
しかし、トラブルが多いのも事実。
サブリース会社によって契約内容や保証内容は様々で、最近テレビやチラシなどでも「30年一括借上」というようなものもありますが、これは30年間家賃が変わらず保証されるというわけではありません。
基本的には1~2年程度で借り上げ賃料の見直しが行われます。
合意できない場合、サブリース会社から一方的に更新を拒否されるなんてトラブルもあるそうです。
原状回復やメンテナンス業者の指定がある場合、大家さん負担になる部分の金額がかなり高額になることもあり、断ればサブリース契約を解除されてしまうケースも。
このようにすべて任せることも出来ますが、その分細かい条件が付いていたり、大家さんにとって
不利になる内容もあったりします。
ですから、契約前に契約内容をしっかり確認し、理解する必要があります。
世間一般では、仲介会社も管理会社もサブリース会社も全て不動産屋さんと一纏めにされがちで、その業務内容を理解している人は少ないと思います。
しかし、賃貸経営をしていくからには、それぞれの会社とお付き合いをする機会は確実に多くなります。しっかりその業務内容を把握した上でコミュニケーションを取れる関係を築いておきたいところです。
日頃からこちらの要望を正しく伝えられるようにしておけば、いざという時には、逆に業者から適切な提案をもらうことができるでしょう。