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「新築を建てる」と一言でいっても土地の形状によって建物プランや建築費用が大きく変わります。代表的な土地形状として正方形、長方形、台形などがある中、多くの投資家が注目しているのが「旗竿地」です。なぜなら旗竿地は他の土地と比べて、価格が2~3割安く購入できると言われているからです。
土地を安い価格で取得して新築を建てれば、完成後の利回りが高くなるので大きなメリットになります。しかし、旗竿地に潜んでいる落とし穴をご存知ですか?高い利回りだけを見ていると思わぬ落とし穴にはまってしまいますので、旗竿地に新築を建てる際は注意が必要です。
そこで今回は、旗竿地の特長と潜んでいる落とし穴についてご紹介します。
旗竿地のメリット・デメリット
旗竿地とは、左の図に青色で示したように土地の形状が旗の形となっている区画のことをいいます。接道している間口が狭く、道路から奥にいくほど土地の面積が広くなっているのが特徴です。
■旗竿地に新築を建てるメリット
・土地価格が安い
居住用の住宅を建てる人は整形地や間口が広い土地を求める傾向が強いため、一般的に取引価格は2~3割安いと言われています。
・利回りが高い
土地価格は安くても新築を建てた際の賃料はそれほど安くならないため、間口が広い土地に建てるより利回りが高くなりやすいです。
この2点だけ見ると、収益物件を建てるのに非常に良い条件のように見えます。しかし、その分デメリットもあります。
■旗竿地に新築を建てるデメリット
・建築費用、解体費用が割高になる
接道している間口が狭いと重機類が入らない可能性があります。そうなると工事に必要な人数が増えたり、工期が長くなるので建築費用や解体費用が高くなります。そのため、前面道路に2m接道していれば建物を建てられるとはいえ、大型車が入るくらいの間口がある土地を探す必要があります。
・希望の建物プランが入らない
竿部分は通路になるため建物を建てられません。そのため敷地面積のわりに建築可能な面積が小さくなるので、希望通りの建物プランが入らない可能性があります。また、容積率いっぱいに建てられない場合もあります。
・売却時の出口が限られる
居住用の住宅を建てる人に人気がないため、売却先の対象者が限られてしまいます。また土地価格が安い分、資産価値も下がってしまいます。
このように、旗竿地は土地価格が安いというメリットがある中、間口の広さや建築の制限によっては予定していた建物を建てられず、新築完成後の利益が少なくなるという落とし穴が潜んでいることを覚えてきましょう。
では、実際に大家さんは旗竿地に新築を建てることをどう評価しているのでしょうか?楽待コラムニストが考える旗竿地についての意見をご紹介します。
旗竿地に新築を建てて儲けるには?
■警備員大家さんの意見(旗竿地に反対)
土地は安くても、売却価格も安くなってしまうので、出口を考えると買わない方がいい
■青島 渚さんの意見(旗竿地に賛成)
土地が安くなるのに賃貸の家賃はあまり変わらないので、利回りが高くなって良い
2人とも賛否は分かれますが、間口が広い物件と比べて土地の資産が下がってしまうデメリットがある一方、賃貸の家賃はあまり変わらないメリットがあるという意見は共通していました。
この意見から、予め売却時のことを考えて土地の資産価値が高いエリアや土地の供給量が少ないエリアに建てるなど、旗竿地でも売却価格が落ちにくい場所を選ぶことが重要だと分かります。場所選びが上手くいくと、新築を高い利回りで賃貸経営することが実現できそうです。
旗竿地に新築を建てて高利回りを実現させることに興味がある方は、まず、建てたいと考えているエリアの土地価格や土地の供給量を調べた上で、シミュレーションしましょう。その際、会社によって建築プランや建築価格に違いがあるので、複数会社に見積りを依頼して土地を最大限に活かした提案をしてくれる会社を探すことをオススメします。