収益物件を新築するにあたって、まず最初にやらなくてはならないことは土地探しです。
土地が決まらなければ具体的な建物計画はできませんし、収益計算の基になる予算計画もできません。
今回は、新築に適した土地を探す時のポイントをご紹介したいと思います。
新築に適した土地を探す3つのポイント
1.費用対効果が高いかどうか
収益物件を建築するのはどこの土地でも良いというわけではありません。
満室を実現できるか、満室状態をできるだけ長く保てる場所かどうかが重要です。
ただ、当然のことながら賃貸需要の多い土地と言うのは土地価が高いため、どうしても費用対効果が悪くなりがちです。賃貸需要が高い地域であればそれなりに家賃額を高く設定できますが、土地価が10倍だから家賃も10倍とはなりません。せいぜい2~3倍が良いところでしょう。
特に主要鉄道駅近隣は賃貸需要が見込めるものの、土地値は高い傾向ですのでなかなか新築には難しいものがあります。
私がおすすめしたい土地の例を挙げてみます。
1Kまたは1R物件なら、地方県で主要鉄道駅から徒歩10分程度での場所。RC新築であっても利回り8%も可能でしょう。
ファミリー物件であれば、やはり地方県で主要鉄道駅から徒歩10分以上でも、駐車場スペースを確保できる比較的広い土地が良いでしょう。
主要鉄道駅から徒歩10分以上ともなると土地単価も下がるので、郊外であれば駐車場付きRC新築ファミリー物件でも利回り8%は可能です。
私の住んでいる静岡県は、首都圏からも近く土地値の割りに需要もそこそこあります。具体的な地域としては三島、富士、藤枝、掛川辺りが狙い目だと考えます。
地方県の物件となると賃貸需要が厳しく、空室の懸念をされる方が多くいますが、よほど田舎の極端な人口の少ない所でなければ過剰な心配は要りません。
私の築22年の軽量鉄骨ファミリー物件などは、周囲の賃貸物件が入居率50%を下回っている状況の中で満室を達成しています。
逆に地方の物件では、このコラムを読んでいるような行動的な大家さんは首都圏に比べれば少なく、入居者獲得競争も少ないので、やり方次第では満室は十分可能です。
2.法律的な制限を確認する
次に賃貸物件が建築できる土地であるかの確認です。
高層の建物にしたい場合には法律的な制限をクリアしなければなりません。
建築物を建築する場合、都市計画というものが法律で定められており、その中で賃貸物件が建てられる市街化区域内では、地域を区切って12種類の用途が決められております。 そして賃貸物件は12種類のうち工業専用地域以外の11地域で建築可能です。
話を戻して、建物の高さは商業系用途地域では高層が建ち易いですが、住宅系地域では高層が建ち難く、高さ制限10mの地域もあります。
もうひとつ注意することは、市街化区域に対して「市街化調整区域」と言うものがあり、この市街化調整区域には基本的にアパートやマンションは建築できません。
建築する為のやり方は無い訳ではないですが、一般的ではありません。
最近ではよく市街化調整区域で、土地価相当の築古のアパート売り物件などが出回っています。非常に低価格で売りに出ているので、購入・解体してから新築をしようと考えがちです。再建築時に許可が出ることもありますが、市街化調整区域と言うことで不許可になる可能性もあります。既存宅地であっても市街化調整区域では再建築不可の実例もあります。
不動産投資上級者でなければ手を出さない方が賢明でしょう。
3.エリア環境の調査
以上2つの条件を満たす土地が見つかれば、さっそく購入!といきたいところですが……その土地の属性をどこまで調査できているでしょうか?
入居需要、生活施設の有無、災害などの危険などはネットで調べられます。
しかし、その土地特有の実際の環境は現場に居なければわからないことが多々あります。
音の問題、臭いの問題、日当たりの問題、埃などの飛散状況など、実際にその場に居なくてはわからないことです。これらの問題は朝、昼、夜で違いますし、平日と休日でも違うでしょう。さらには季節特有の問題がある地域もあります。
ただ、実際に全部の状況を自分自身で調査するのは大変ですので、近所の方に何気なく聞いてみるとか、商店などで世間話程度に聞いてみるのが良いでしょう。引越しを考えていると言う想定で近所の不動産屋さんに聞いても良いと思います。
土地探しは手間がかかる分、リターンも大きい!
土地探しはその土地に具体的な建物が存在しないだけに想定が難しいと思います。また、法的にどのような建物が建築可能かも専門家で無いと判断できません。
しかし、優良中古収益物件がなかなか僅少といわれている現在では、無理して利回りの低い中古物件を買うことはリスクが伴います。むしろ、自分の希望する地域に土地から購入して、その土地に合った自分の希望する建物を建築するほうが有利かもしれません。
中古物件を買うよりも手間暇はかかりますがやってみる価値はあります。根気良く探せば掘り出し物の土地がきっと見つかることでしょう。