東京都八王子市内のアパートで木造の外階段が崩落し、住人の女性が死亡した事故から約1年。国土交通省が再発防止に向け公布した「建築基準法施行規則の一部を改正する省令」などが4月1日から施行されます。
法改正に合わせて、木造の屋外階段の防腐措置や定期点検を強化するための「木造の屋外階段等の防腐措置等ガイドライン」と「賃貸共同住宅に係る工事監理ガイドライン」も公表されています。
事故の教訓を踏まえ、ガイドラインでどのようなことが定められたのか、3つのポイントを紹介します。
新たなガイドライン 3つのポイント
1.対象となる屋外階段のタイプ
ガイドラインでは屋外階段のタイプによって、適切な防腐措置や検査の実施を求めています。注意すべきなのは、すべてが木製の階段や、木造と鉄骨を組み合わせた階段だけでなく、木造の躯体に取り付けられている鉄骨階段も含まれる点です。外階段のある木造アパートの多くが対象となる可能性があります。
2.新築時の検査体制を強化
従来は不明瞭だった「どのような防腐措置をとるべきか」について、プラスチック繊維を使用した「FRP防水」やシートで覆って浸水を防ぐ「シート防水」などの適切な防水処理を施すことや、階段部分に水が溜まらないようにするなどの具体的な方法を示しています。その上で、完了検査にあたっては、屋外階段が木造かどうかやどのような防腐措置を実施したかを書類に記載し、適切に措置が取られたかを確認検査機関などがチェックできるようにします。
3.新築以外も定期点検を
さらに、新築以外の物件についても、上記の4つのいずれかに当てはまる場合、木の部材が腐食していないかどうかなどの点検を所有者に促します。
具体的には、建物の老朽化や設備不良による事故を未然に防ぐための制度である「定期調査報告制度」を利用します。同制度の対象は、ホテルや病院など、不特定多数の人が利用する建物。対象となった建物の所有者は3年に1度、建物に異常がないかどうかを点検し、行政に報告しなければなりません。
物件の安全性を担保するためにすべきこと
新築時に適切な防水処理を施したとしても、年数とともに効果が落ちていきます。悲惨な事故を防ぐためには、定期的なチェックと適切なメンテナンスが欠かせません。防水処理には様々な方法があるため、工事が必要な場合は適切な処理方法を専門業者に相談するなどして適切なメンテナンスを実施しましょう。